中国留学にHSKは何級必要? ― 学位・交換留学・奨学金の目安
中国大陸の大学に出願しようとすると、ほぼどこかの段階でHSKの級が出てきます。学位を取る留学なのか、1学期の交換留学なのか、奨学金付きのプログラムなのかで求められる水準は変わります。目的別の目安と、「この級で足りる」と決める前に確認すべきことを整理します。
なぜ中国の大学はHSKを求めるのか
中国大陸の大学は、講義について行けるか、教材を読めるか、生活をこなせるかを客観的に確認する必要があります。HSKはその用途で最も広く通用する証明なので、多くのプログラムが募集要項に最低級を書いています。中国語で行われるプログラムは、英語で行われて中国語科目が付くだけのプログラムより当然高い級を求めます。
日本の学習者が最初に迷いやすいのがここです。国内での知名度が高い中国語検定(中検)は、中国の大学が示す語学要件としては通常挙がりません。中検は日本国内向けの検定で、和訳・中訳など日本語との往復を含む設計だからです。国内就職なら中検が有力な選択肢になる一方、中国留学の出願要件はHSKで揃える、という切り分けになります。両者の性格の違いはHSKと中検の違い、目的別の使い分けは日本でHSKを受ける意味を参照してください。
目的別の級の目安
要件は大学・プログラム・年度によって変わります。あくまで方向感として見て、必ず出願先の募集要項で確認してください。
| 目的 | よく求められる級の目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 短期語学研修・サマープログラム | HSK2〜3級または不要 | 初学者を受け入れる例も多い |
| 交換留学(英語で行われる専攻) | HSK3〜4級 | 専攻ではなく生活面のための要件が多い |
| 学位留学・学部(中国語で行われる) | HSK4〜5級 | 人文系は高め、理工系は低めの例もある |
| 学位留学・大学院(中国語で行われる) | HSK5〜6級 | 読解と作文の負荷が格段に上がる |
| 奨学金への出願 | プログラム次第・4級以上が多い | 独自の語学試験を課す場合もある |
学位留学は「出願要件」と「実際に必要な力」がずれる
講義・教科書・試験のすべてが中国語で進む学位留学では、日常会話とは求められる水準が別物です。出願の下限としてHSK4級が置かれることは多いものの、入学後の読解量・作文量を考えると、入る時点で5級相当の力があるほうが現実的です。証明書は入学を通すためのもので、語彙の要求量が実際に出るのは授業のほうだと考えておくとよいでしょう。専攻によっても差があり、語学・人文系は中国語力を厚く求める傾向があります。
級ごとの範囲はHSK4級とは・HSK5級とはで確認できます。
交換留学は要件が二段構えになる
日本の大学から協定校へ交換留学で行く場合、満たすべき要件が2つある点に注意してください。
- 派遣先(中国の大学)が示す受け入れ要件 … HSKの最低級。多くは自分の大学の交換留学募集要項や派遣先一覧に転記されています。
- 自分の大学の学内選考の要件 … 派遣枠を争う学内選考で、独自に語学スコアや成績(GPA)の基準を置いていることがあります。
この2つは別物で、締切も別に来ます。派遣先の最低級だけを目標にして準備すると、学内選考の締切に間に合わないことがあります。学内選考のほうが先に来るのが通例なので、まず自分の大学の国際交流窓口で学内選考の要件と締切を確認してから、逆算してHSKの受験回を決めるのが安全です。
1学期・1年の交換留学は学位留学より要件が低めで、専攻が英語で行われるならHSK3〜4級が現実的な目標になります。ただしプログラムごとに独自の最低級を示す例もあります。
奨学金は個別に確認する
中国留学向けの奨学金は、出願時にHSKの級を求めるものが多く、別途プレースメントテストや面接を課す場合もあります。募集要件・締切・必要な級はプログラムごとに異なり、年度によっても変わります。一般的な解説記事ではなく、必ず当該奨学金の公式募集要項を直接確認してください。この記事では、古くなりやすい基準や、個別プログラムにしか当てはまらない条件は意図的に書きません。
出願締切から受験回を逆算する
HSKの成績は、外国人留学生が中国の大学に入学するための証明としては、有効期間が受験日から起算して2年とされています(出典: HSK日本実施委員会 よくある質問)。起点が成績の発行日ではなく受験日である点に注意してください。成績が出るのは受験から少し後なので、実際に使える期間は受験日から数えた2年より短く感じられます。
なお、これ以外の用途については有効期限が定められていないため、提出先の規定を確認してください。
もう一つ実務的なのが、受験日と成績が出るまでの時間です。出願締切の直前に受験しても、間に合わないことがあります。日本国内のHSKは年に複数回実施されていますが、回によって実施級が異なります。出願締切から逆算して、成績が間に合う受験回を選ぶのが要点です。直近の日程と申込締切はHSK対策トップのカウントダウン、および実施団体の公式サイト(HSK日本実施委員会)で確認してください。
目標級までの積み上げ
出願先が示す級が決まったら、あとは順序立てて積み上げるだけです。
- 発音・ピンインを早い段階で固める。声調を取り違えると、リスニングでも授業でも損をします。
- HSK頻出単語で語彙を体系的に増やす。
- 読解とリスニングは別々に対策する。どちらも配点が重いためです。
- 数ヶ月単位の計画はHSK4級に何ヶ月?を目安にする。
- 現地で使う表現は留学の会話で先に慣れておく。
まとめ
- 中国の大学の語学要件はHSKで揃える。中検は中国側の要件としては通常挙がらない(国内就職では有力)。
- 短期研修・交換留学はHSK2〜4級、中国語で行われる学部はHSK4〜5級、大学院はHSK5〜6級が目安。要件は必ず募集要項で確認する。
- 協定校交換留学は「派遣先の要件」と「自校の学内選考」の二段構え。学内選考の締切のほうが先に来る。
- 奨学金の基準は年度ごとに変わるため、公式募集要項を直接見る。
- 中国の大学への入学用途では、成績の有効期間は受験日から起算して2年。出願締切から逆算して受験回を決める。
まずは現行HSK 2.0公式語彙・文脈チェックで公式語彙の手応えを確かめ、出願先が求める級との距離を確認してみてください。